個性的なパブが立ち並ぶシドニーの中でも、Woolloomooloo(ウルムル)にある「The Old Fitroy Hotel(オールド・フィッツロイ・ホテル)」は一味違います。新進気鋭の登竜門と言われる劇場と、絶品フレンチのビストロを併設した老舗パブです。
シドニーの老舗パブ「オールド・フィッツロイ・ホテル」
かつて南半球最大の繁華街と呼ばれた夜の街「Kings Cross(キングスクロス)」には、「Kings Cross Hotel」をはじめとする様々なパブが軒を連ねています。
「The Old Fitzroy Hotel(通称オールド・フィッツ)」は、そのキングスクロスからほど近いWoolloomooloo(ウールームールー / ウルムル)にある老舗パブです。
シティ近郊の埠頭の街「ウールームールー」
ウールームールー(ウルムル)は、西にシドニーCBD(シティ)、東にPutts Point(ポッツポイント)、北にFinger wharf(フィンガーワーフ)という埠頭に挟まれた、丘の谷間に広がるエリア。
特にフィンガーワーフ周辺は人気のレストランやカフェ、また新しく北館がオープンしたNSW州立美術館がある、話題のエリアです。
元々貧困層向け公共住宅のあるエリアでもあるので、以前は(今も一部は)治安的には微妙だった時期もありましたが、最近ではシティへも徒歩圏内というアクセスの良さもあり、新しいレジデンスなど再開発が続々と行われて注目されています。
ウールームールーのランドマーク
「ウルムルと言えば‥‥」で必ず名前が上がるオールド・フィッツ。キングスクロス駅からは徒歩わずか5分。レトロ感漂う茶色いレンガ積みの建物と緑や紫の木々、赤と白のパラソルとが絶妙な、街のランドマーク的な存在です。
周辺は繁華街というよりも住宅街といった雰囲気で、大通りに面しているわけでもなければ、有名店が軒を連ねているわけでもありません。にもかかわらず、このパブの周辺だけはいつでも人で賑わっているのが不思議です。
ジャカランダとクラフトビールでお花見
オールド・フィッツが面しているCathedral Street(カスィードラル・ストリート)はセントメアリー大聖堂まで続く、ジャカランダ名所としてかなり有名な通りです。
特にジャカランダ並木越しにシドニータワーが見える場所として、人気の撮影スポットにもなっています。
ジャカランダのシーズン(11月頃)は、天候も良く風が気持ちのいい季節。天気が良ければテラス席に陣取り、ジャカランダを愛でながら乾杯するのが最高です。シドニーでは公共の場での飲酒は規制されているので、ここだったら堂々とクラフトビール片手にお花見できますよね。
150年以上の歴史を持つオールド・フィッツロイの魅力
築150年以上のオールド・フィッツの建物。長い歴史の中で何度も改修を繰り返してはいますが、時代の片鱗がそこかしこに残っています。
1F:ローカルが集うパブ
1Fのパブは、ビールタップの並ぶバーカウンター、カーペット敷の床、煤けたブロック積みの壁、ティンシーリングに吊るされたシャンデリアなどなど、いい意味で洗練されていない「王道パブ」インテリアです。
この日はバンドの生演奏も入っていて、ローカルっぽいおじさま達がビール片手にノリノリでした。こういう洗練されすぎていない気軽な感じが、地元の人たちに愛される理由なのかもしれません。
ローカルのビールが楽しめるのも、シドニーのパブならでは。マリックビルの人気ブルワリー「Young Henrys」や「Wayward」のものもあって、人気のクラフトビールがパブで気軽に飲めるのは嬉しいです。カクテルやワインもちゃんと取り揃えています。
B1F:併設劇場の「オールド・フィッツロイ・シアター」
オールド・フィッツにはパブとしてだけでなはく、演劇ファンに愛されるシアター・パブ(劇場併設のパブ)という側面も。入り口の脇にはしっかりボックスオフィスもあります。劇場の詳細については後ほど。。。
2F:美味しいと評判の「ビストロ・フィッツ」
上階には受賞歴のあるシェフが腕を振るう、評判のBistro Fitz(ビストロ・フィッツ)が。パブとは雰囲気がガラッと変わって、美しく整えられたテーブルが並びシックな佇まいです。
残念ながら金土日の週末のみの営業だったので、美味しいと評判のSteak Poivre(ペッパーソースのステーキ)を食べられず‥‥次回トライします。
M2F:見晴らしのいいテラス席
劇場の手前にある中2階のテラス席は、窓の外にジャカランダが広がる特等席。観劇に訪れたこの日はあまり時間がなく、紫色のジャカランダを愛でながら一口だけいただきました。
飲み干さなくても問題なしです。パブ併設なので、観客達は皆グラスを手にしたまま劇場に入っていきます。こういうカジュアルさもいいですね。
オーストラリア最古の劇場併設型パブ
連日新進気鋭のインディペンデント系劇団が作品を上演している、地下にある劇場「Old Fitzroy Theatre(オールド・フィッツロイ・シアター)」。今現在オーストラリアで現存している、唯一のシアター・パブだそうです。
若手俳優の登竜門「オールド・フィッツロイ・シアター」
座席数わずか58席という小さな劇場ながら、オーストラリアを代表する演劇従事者の多くがここでキャリアをスタートさせていて、演劇ファンにはかなり有名な存在だそう。オーストラリア演劇界を語る上で、外せない場所なんです。
この日はOmusubi Productionsの「The Face of Jizo(父と暮らせば)」を鑑賞。井上ひさしの代表作の一つで、オーストラリアでは初めての上演だそう。小さな会場ならではの満員のお客さんとの一体感の中、笑いあり涙ありの二人芝居を、心地よい感動と共に楽しみました。
個性溢れるシドニーのパブの中でも、一味違った劇場併設のパブ。余程の演劇好きでなければ小劇場に足を運ぶことはないかもしれませんが、その場所がパブだったら観劇のハードル少し下がるかもしれませんよね。
ワイン片手に演劇鑑賞もいいし、テラス席でお花見もいい。ローカル達とバンド演奏を聞きながら、オールドスクールなパブを堪能するのもいいですね。そんな地元民に愛されるオールド・フィッツ。美味しいと評判のビストロのお味は、今度また改めて。
The Old Fitzroy Hotel
129 Dowling St, Woolloomooloo NSW 2011, Australia TEL:+61-2-8317-3057 OPENING HOURS: MON - TUE 12:00pm - 11:00pm WED - SAT 12:00pm - 12:00am SUN 12:00pm - 10:00pm