世界に先駆け、早く年越しを迎えるオーストラリア。南半球に位置するため、真夏の年越しイベントで大いに盛り上がります。
オーストラリア各地で様々なイベントが開催される中、特に注目を集めるのがシドニーで行われるカウントダウン花火。そんな世界有数の規模を誇る花火を中心に、シドニーの年越しの様子をご紹介します。
世界に先駆けたシドニーのカウントダウン
世界の中でも日付変更線に近いことから、シドニーは世界各国に先駆けて、さらに日本よりも2時間早く新年を迎えます。(ニュージーランドはさらに1時間早い)
そんなシドニーで行われるカウントダウン花火(Sydney New Year’s Eve、略してSYDNYE)は、オーストラリア各地で開催されるカウントダウンイベントの中でも、最も盛り上がるイベントです。
毎年100万人以上が世界各国から集結し、リアルタイム配信の視聴者数は世界中で数十億人にも及ぶとか。この時期のホテル料金は大幅に高騰しますが、それでも瞬く間に満室になります。恐るべし。
シドニー湾周辺では、オペラハウスやハーバーブリッジを中心に様々なイベントが催され、世界最大級のカウントダウン花火でイベントはフィナーレを迎えます。
ここからはシドニーの年末年始のシドニーの街の様子を、カウントダウン花火観覧のおすすめスポットを交えてご紹介します。
シドニー湾周辺はバリケードで入場制限
真夏のせいなのか、日本の「年の瀬」よりものんびりした雰囲気漂うシドニーの大晦日。ただ、この日のシティ周辺だけは、どこか慌ただしく、少しだけ物々しい雰囲気です。
花火が打ち上げられるのは、シドニー湾周辺。ハーバーブリッジやオペラハウス、ロイヤルボタニックガーデンなどの主要花火観覧スポット一帯は、バリケードが張られ中に入ることができません。
私のモーニングルーティーンでもある、ボタニックガーデンを横断してオペラハウスに行く朝ランコースも、警官やセキュリティが配置され、通り抜けることができず。この日ばかりはコースを若干変更して、別ルートで回ることになります。
一部の花火観覧スポットはチケット購入が必須ですが、そこを除けば基本的に入場料は無料。席取りは早い者勝ちなので、午前中から場所取りのための行列ができます。(前日からテント持参で並ぶ猛者もいます)
12月に夏を迎えるシドニーでは、昼間の日差しが容赦なく肌を照りつけます。仮設トイレの数も限られているので、半日以上をここで過ごすには十分な準備が必要です。日よけ対策と水分補給は必須。快適に過ごすための食べ物や椅子などを持参してのぞみましょう。
シティの通行規制と道路封鎖
観覧スポットの入場制限だけではありません。昼過ぎから夕方にかけてシティの主要道路は封鎖され、CBD(中央ビジネス区域)内は一般車両の通行が一切できなくなります。
ちなみに私の自宅前の道路も、大晦日の夜から明け方にかけて通行止めに。この日は家族や友人を招いてカウントダウンパーティを開くので、来客の時間や駐車場の確保など、スケジュール管理には特に気を配らなくてはなりません。
世界最大級の年越しカウントダウン花火
夜が更けると、いよいよカウントダウンイベント「SYDNYE(Sydney New Year’s Eve)」がスタートです!先住民アボリジナルの人々による伝統的な浄化の儀式「スモーキング・セレモニー(Smoking Ceremony)」が19:30から行われ、イベントの幕が上がります。
その後、20:30にはハーバーブリッジとパイロン展望台がプロジェクションマッピングとライトアップで彩られ、続いて21:15には美しくライトアップされた様々なボートがシドニー湾を帆走します。
21:00からスタートする「ファミリー花火」は、先住民アボリジナルとトレス海峡諸島民のアーティスト達が、彼らの豊かな文化と伝統を表現した光のショーです。規模小さいもののメインよりも一足早く、子供から大人まで楽しめます。
0:00目前。いよいよカウントダウン間近。残り30秒を切った瞬間から、ハーバーブリッジの橋脚、パイロン展望台にカウントダウンの数字が映し出され、5..4..3..2..1….
あたりが一瞬静まり返った後、ハーバーブリッジのアーチから一斉に花火が吹き出し、花火のスタートです!
森林火災や新型コロナウイルスの影響で、一時は縮小されたカウントダウン花火も、現在は完全復活。シドニー湾を横断する海上8箇所から打ち上げられる花火は、10万発以上、総重量8トン以上です。
規模があまりにもダイナミックなので、カメラのファインダーでは全体を捉えきれません。この迫力満点な花火の様子はYoutubeでも配信されているので、ぜひ臨場感あふれるドローン映像をチェックしてみてください。
フィナーレでは雪崩のような連射花火が打ち上がり、観客や近隣住民から一斉に拍手喝采が沸き起こります。街中に「Happy New Year!」の掛け声が響き渡り、約20分間の短い宴は終了です。
最近は環境問題とコスト面から、他のイベントでも使われ始めているドローンショーへの移行も検討されているとか。ダイナミックな花火とドローンのコラボレーションも、いつか実現したら楽しそうですね。
シドニーハーバーのおすすめ花火観覧スポット
そんなカウントダウン花火の、在住者おすすめの観覧ポイントを少しご紹介します。オペラハウスやハーバーブリッジを望む絶景と共に、シドニー湾全域で打ち上げられる大規模な花火を楽しむことができるポイントばかりです。
今回ご紹介するポイントは、一部を除いて無料開放されています。無料な分、早朝から場所取りの行列に並ぶなど、席の争奪戦が繰り広げられますが、その分普段味わえない貴重な体験ができるのでは?
1. ヒクソン・ロード・リザーブ(Hickson Road Reserve)
ハーバーブリッジの麓にある公園「ヒクソン・ロード・リザーブ(Hickson Road Reserve)」。頭上にそびえ立つハーバーブリッジを見上げつつ、目の前のシドニー湾、そして対岸に浮かぶオペラハウスも一望できます。
花火打ち上げのメイン会場なので、間違いなく一二を争う人気ポイント。席取りはかなり大変ですが、頭上から前後左右360°に広がる、五感を刺激する圧巻の花火体験ができます。
2. ミセス・マッコーリーズ・ポイント(Mrs Macquaries Point)
シドニー屈指の絶景スポットとして、私がいつもおすすめしているミセス・マッコーリーズ・ポイント(Mrs Macquaries Point)。オペラハウスの背後に広がるハーバーブリッジ、というザ・シドニーな風景が満喫できるスポットです。
ここもシドニーで一二を争う人気観覧スポットなので、毎年早い時間から長い行列ができています。激しい場所取り競争は避けられませんが、その努力に見合う素晴らしい光景が待っているはず。
3. フリート・ステップス(Fleet Steps)
ミセス・マッコーリーズポイントの脇にある「フリート・ステップス(Fleet Steps)」も、入場無料の絶好の観覧スポット。毎年オープンエアシネマやシドニーハーバー・オペラなどが開催されるこの場所は、階段状の客席のような傾斜と広々とした芝生の広場があり、観覧のしやすさでも人気です。
4. ローズ・ベイ(Rose Bay)
シティの東に位置する浅瀬のビーチ「ローズ・ベイ(Rose Bay)」。超高級住宅地「ポイント・パイパー(Point Piper)」の岬に遮られてオペラハウスは見えませんが、ハーバーブリッジから東へと連なる花火の全景を楽しむことができます。メイン会場からは少し離れているからこそ、ゆったりとした雰囲気で花火を堪能できる穴場スポットです。
5. ダドリーページ・リザーブ(Dudleypage Reserve)【有料】
イースタンサバーブにある丘の上の公園「ダドリーページ・リザーブ(Dudleypage Reserve)」も、シドニー有数の絶景スポットの一つ。シティから若干距離はあるものの、高台にあるため視界を遮るものがなく、シティの全景が一望できます。
今回ご紹介するスポットの中で一番東にあるため、8箇所から打ち上がる連続した花火を一望できるはず。残念ながら入場無料ではありませんが、間違いなく絶好の観覧スポットといえるでしょう。12月1日現在もチケットに余裕があるようです。急いで!
他にもケーヒル・エクスプレスウェイ(Cahill Expressway)やブラドリーズ・ヘッド(Bradleys Head)、ミルクビーチ(Milk Beach)も個人的におすすめですが、現時点でチケットはすでに完売しています。残念!
ハーバーブリッジの西側にも観覧スポットはありますが、花火の配置を考えると東側エリアからの観覧がベストです(東側住民として、少し贔屓目かもしれませんが)。
オペラハウスやディナークルーズでカウントダウン
花火のために真夏の朝から行列を作り、観覧時にはすでに疲労困憊、というのは残念すぎます。そんな人におすすめなのが、オペラハウスでオペラ鑑賞からのカウントダウンパーティや、船上で食事を楽しみながら花火を楽しむディナークルーズです。
料金はかなり高めですが、煌びやかなオペラを鑑賞したり、美味しい食事とお酒を楽しみながら、ディナークルーズでカウントダウン花火を眺めるなんて、きっと一生の思い出になるはず。とはいえ、私自身はまだ経験したことがないんですけど。
南半球にあるオーストラリアの年越しは真夏。日本の「ゆく年くる年」のような厳かな雰囲気ではありませんが、新鮮なシーフードとBBQを楽しみながら、キンキンに冷えたスパークリングで乾杯して、世界最大級の花火でカウントダウン。
そんなシドニーで迎える真夏の年越し、お祭り気分で思いっきり楽しんでみませんか?