イスラム建築の最高傑作 ALHAMBRA(アルハンブラ宮殿)| GRANADA

スペインの古都グラナダにある世界遺産の「ALHAMBRA(アルハンブラ宮殿)」は、「イスラム建築の最高傑作」と言われています。スペインにいながらイスラム文化を感じることができる、見所満載のアルハンブラ宮殿を朝から夜まで丸1日楽しみました。

CONTENTS

スペイン・グラナダにあるALHAMBRA(アルハンブラ宮殿)

ALHAMBRA(アルハンブラ宮殿)はスペイン北西部のグラナダにある、イベリア半島最後の王朝があった宮殿です。丘の上に立つ「赤い城」と呼ばれる茶色い城壁で囲まれた建物全体は、ユネスコ世界遺産に登録されています。

元々は軍事要塞に始まり、その後美しい王宮や城塞、緑豊かな庭園などが続々と建設され、高い塀の中にはイスラムを始め様々な文化と歴史が入り混じった唯一無二の空間が広がっています。

世界遺産アルハンブラ宮殿の見所4スポット

宮殿内はとても広いので、1日で遊び尽くすには計画的に動く必要があります。今回見学したのは「ヘネラリフェ」「ナスル朝宮殿」「アルカサバ」「カルロス5世宮殿」の計4箇所。宿泊した「パラドール・デ・グラナダ」をベースに、あまり無理せず(かなり暑かったのでそこそこ無理はしていますが)まんべんなく楽しみました。

主要宮殿内に入場するにはまずチケットが必要です。更にアルハンブラ観光の目玉と言われる「ナスル朝宮殿」については時間指定制なので、予めネット予約はマスト(当日券は売り切れることも)。私達は既にグラナダのパラドールを予約していて日程は決まっていたので、2ヶ月前にはチケットを予約しておきました。

朝食を食べた後パラドールを出て、まずは「ヘネラリフェ」に向かいました。アルハンブラの見学にはイヤホンガイドがあった方がいいので、ヘネラリフェに向かう途中にあるこちらのメインエントランスでイヤホンガイドをレンタルしました。

【1】PALACIO DEL GENERALIFE(ヘネラリフェ) 9:00am〜11:00am

アルハンブラ宮殿の他の建物群とは別の丘にある「PALACIO DEL GENERALIFE(ヘネラリフェ)」は、王達の避暑地として使われていた場所です。細く長く続く水路とその脇にズラッと噴水のアーチが並ぶ「アセキアの中庭」が有名で、至る所で噴水や水の流れる音が常に聞こえてきます。

雨が少なく乾燥した気候の中、花と緑で溢れ、水をふんだんに使った美しい空間が広がっています。アルハンブラ宮殿内で唯一、カラフルな美しい花々と、シエラネバダの雪解け水を使用した涼しげな雰囲気があるフォトジェニックなスポットです。

一通り見学を終えた後、一旦ランチをしにパラドールに戻り、少し休憩してから午後の見学をスタートさせました。

【2】PALACIOS NAZARÍES(ナスル朝宮殿)2:30pm〜4:00pm

PALACIOS NAZARÍES(ナスル朝宮殿)」はイスラム独特の緻密な装飾が散りばめられた、アルハンブラで最も重要な建物と言われています。アルハンブラ宮殿の中ではここのみ入場は時間指定で、まさに別格扱いです。私達はランチ後に余裕を見て2:00pmに予約しましたが、入場は30分間のみなのでくれぐれも時間厳守で訪れましょう。

ナスル朝宮殿は様々な宮殿や部屋、中庭が複合した建物で、その時代の王様によって増築、破壊、改築を繰り返して現在の最終形になっています。「メスアール宮」「コマレス宮」「ライオン宮」と大きく3つの宮殿に分かれています。

◼︎メスアール宮

入り口を入るとすぐに通過する「メスアール宮」は、何度も破壊と修復を繰り返しているナスル朝宮殿の中で唯一現存する最古の部屋だそう。

部屋に入ると正面に広がるカワイイ壁のタイルに目を奪われますが、その上にあるヒビ割れてボロボロと剥がれたアラビア文字のカリグラフィーが時代の流れを物語っています。

横にある祈祷室の馬蹄型の窓の向こう側に広がるアルバイシン地区の美しい街並みや繊細な透かし彫りに感動しましたが、その後観る膨大な量の装飾を考えると、ここはまだまだ序章だったんだなと今になって思います。

◼︎コマレス宮

細長い池と両端の噴水が印象的な「アラヤネスの中庭」は、緑の池の水が左右対称の建物を水鏡のように反射しています。個人的には後ろに見切れているカルロス5世宮殿が、見栄え的に少し残念な気がしなくもないです。

池の両脇には女性用の住居が並んでいるそうで、キレイに刈り込まれた植栽と窓の配置がグラフィカルで美しいです。

中庭の周囲の建物に入ると、壁や天井はアラベスク模様がびっちりと描かれた漆喰壁で覆われています。

幾何学模様や草花のモチーフだけでなく、よく見るとアラビア文字も描かれていてその細かさにただビックリです。かなり緻密なので見ているだけで頭がクラクラしてきます。集合体恐怖症の方は要注意です。

◼︎ライオン宮

アルハンブラの中でも象徴的な風景の1つ「ライオン宮」にある「ライオンの中庭」は、昔男子禁制のハーレムだった場所だそう。12頭のライオン像が支えている噴水の周りを、124本の柱によって支えられた柱廊が囲っています。ライオンの口から出る水の位置で時刻を知らせていたみたいですが、この時は全てのライオンの口からチョロチョロ水が出ていました。

中庭の周囲にある部屋の1つ1つにもそれぞれ途方に暮れるような繊細な装飾が施されていますが、あまりにも情報量が多すぎるのと暑すぎるので、ここまで来ると体と頭が疲労困憊してクラクラして来ます。

細かく見ていると時間がいくらあっても足りないので、気になるところだけをピックアップしてオーディオガイドで聞いて、体力温存のためにも時々美しい景色を眺めたりベンチに座ったりしながらマイペースに見学しました。

緑が生い茂る「リンダラハの中庭」に到着して終了です。中央にある噴水の周りをジオメトリックに整えられた花や植え込みが囲んでいて、今まで見てきたナスル朝宮殿の雰囲気とはガラッと変わります。日陰の外廊下にはベンチが並んでいるので、噴水を見ながら暫し疲れた体を休ませました。

【3】ALCAZABA(アルカサバ)4:30pm〜5:00pm

ナスル朝宮殿を出たら、アルハンブラ宮殿の最西端にある「ALCAZABA(アルカサバ)」に向かいました。9世紀ムーア人によって軍事要塞として建てられたアルカサバは、アルハンブラ宮殿内で一番古い建物とされています。兵隊達の住居跡「アルマスの広場」には当時の住居の土台が残っていて、まるで迷路のようです。

アルカサバで一番高い建物「ベラの塔」の階段を登り頂上に到達すると、グラナダの街だけでなくシエラネバダ山脈も一望できる360°の大パノラマが広がっています。

塔の上から西側を見下ろすと、丘の上に建つアルハンブラ宮殿全体が城壁で囲まれていて、不規則な形をしています。アルカサバを起点にして、徐々に「ナスル朝宮殿」や「ヘネラリフェ」へと東に拡大して行った様子がわかりますね。

東側を見下ろすと所々に緑はありますが、全体的に薄茶色い土色の街並みが広がっています。雨が少ないアンダルシア地方独特の茶色い乾いた大地が広がっているイメージです。

既に5時ですが、夏のスペインは日が長いのでなかなか涼しくなりません。アルカサバには日を遮るものがほとんど無いので、灼熱地獄が続きすっかり体力を消耗しました。ここでまた一旦パラドールに戻ってシャワーを浴び、休憩してからのんびりディナーを楽しみました。

【4】PALACIO DE CARLOS V(カルロス5世宮殿)10:30pm〜12:30am

私たちが訪れた7月にはちょうど「FESTIVAL DE GRANADA(グラナダ・フェスティバル)」という音楽祭が開催されていたので、今回はオーケストラのコンサートを鑑賞しがてら、最終目的地の「PALACIO DE CARLOS V(カルロス5世宮殿)」を見学しました。

「カルロス5世宮殿」はカルロス5世とその家族の生活の場として建てられた宮殿で、ナスル朝宮殿の隣にあります。緻密な装飾が印象的なナスル朝宮殿とは異なり、ルネッサンス様式のどっしりとした正方形の建物で、中に入ると中央にローマのコロッセオを彷彿とさせる大きな円形の中庭があります。

実は中庭広場に屋根がないのは、当初の計画通りではなく「未完成だから」というのが面白いです。昔は闘牛やグラディエーターの決闘が行われていたそうですが、この日は舞台と客席が並べられオーケストラのコンサートが開かれました。

円形に均等に並ぶ列柱は1階がドリス式、2階がイオニア式になっています。よく見ると柱頭の形が違っていて、大学の時の建築史の授業を思い出します。

アルハンブラ宮殿内の建物ではありますが他の建物とは趣が異なるので、必ずしも訪れるべきスポットではないかもしれません。中庭と列柱のダイナミックさや、円形に切り取られた空の美しさなど見所もあるので、「カタルーニャ音楽堂」の時のようにイベントに絡めて見学するのもオススメです。

世界遺産を1日で満喫

今回は深夜のコンサートも絡めるという変則的なルートでしたが、基本な4つのスポットを抑えました。「ヘネラリフェ」だけ離れた場所にあるで最後に回すのもアリですが、アルハンブラ宮殿敷地内にはランチやお茶をする休憩スポットがあまりないので、今回はパラドールを休憩ポイントとして予定を組みました。

実は子供の頃の夏休みにアルハンブラ宮殿を訪れたことがありますが、「意識朦朧とする暑さと、同じ部屋が何部屋も続いてなかなか終わらない辛さ」という記憶しか残っていません(今から考えるとナスル朝宮殿)。今回はあれから数十年経ち、かなり大人になったので感じ方も違うかなと思いましたが、最初は美しさに感動していたものの徐々に体力的に辛くなり、最終的には子供の頃と同じような印象が残りました;私は成長していないのかも。

それでもイスラムの面影を色濃く残す建築の数々は一見の価値ありです!夏に訪れたということもありますが、それだけグラナダの暑さは厳しいので、春や秋頃訪れた方がじっくりと楽しめる気がします。

敷地内には売店がかなり少ないので、できればホテルなどからお水を持参することをオススメします。水分補給を忘れずに楽しみましょう!

ALHAMBRA

Calle Real de la Alhambra, s/n, 18009 Granada, Spain
TEL:+34-958-027-971

PLEASE SHARE THIS POST ♡

コメントする

three × five =

CONTENTS