シドニー有数のクラフトビールの聖地と言われる「Marrickville(マリックビル)」。数ある醸造所の中から今回訪れたStockade Brew Co.(ストッケード・ブリュー・カンパニー)は、定番はもちろん、個性的な変わり種フレーバーのクラフトビールが楽しめるブルワリーです。
マリックビルにある「Stockade Brew Co.(ストッケード・ブリュー)」
パブに訪れれば有名ブランドの隣にタップが並び、酒屋さんでも冷蔵ケースに普通に並ぶ、もはやオーストラリアでは定番とも言える存在のクラフトビール。それだけオーストラリアで市民権を得ているクラフトビールですが、まだまだ市場には出回っていないメーカーはたくさんあります。
シドニーで有名無名を問わず「クラフトビール」を楽しみたいなら、断然Marrickville(マリックビル)がオススメです。何度もご紹介していますが「Beer Capital」と呼ばれ、個性的なブルワリーがこのエリアに点在しています。今回は数あるブルワリーの中から、「Stockade Brew Co.(ストッケード・ブリュー・カンパニー)」に訪れました。
実は私、Stockadeのブルワリーの存在をあまり知りませんでした。ここを訪れたのはブルワリー巡りの流れで、ただ単に「Batch Brewing Co.(バッチ・ブリューイング・カンパニー)」から徒歩2分と近かったからですが、結果的に訪れて大正解。個人的にはBatchよりも好みのビールが見つかりました。
塗装屋さんや車の整備工場などが並ぶ典型的な「工業地帯」で、本当にこんな場所に醸造所があるの?という通り沿い。そのまま進むと右手に大きなホップマークが描かれたシャッターがあり、その向こうに樽が見えます。ここがStockadeです。
Stockadeの前身はBrew Packという醸造所で、他のビール会社の醸造を請け負う契約醸造所だったそう。その後the Macarthur Grange Breweryに名称を変更し、ペールエールとIPAがSydney Royal Beer Showで金賞を受賞。その後、今のStockade Brew Co.になりました。
ビールに疎い私は全く知りませんでしたが、結構歴史のあるブルワリーなんですね。
ブルワリー(醸造所)併設の大きなタップルーム
巨大倉庫のような天井の高い超大空間に、高く積み上げられた木製の樽のパーティションが空間を仕切っています。建物の大部分はビール醸造用の大きなステンレスタンクが置かれた工場部分、その脇にあるのが長いバーカウンターと客席です。
開放的な大空間のせいか、「工場の一角でビールを試飲している」という少し社会科見学のような感覚が。ただ私達が座ったのは樽で囲まれた閉じたエリアだったせいか、静かで意外に居心地は良かったです。
名称やオーナーが変わりながら長い間ビールを作り続けてきた老舗ブルワリーですが、この醸造場兼バーであるBarrel Roomは2018年にオープンしたばかり。まだ新しいせいか並んでいるタンクや樽、テーブルや椅子など全てに清掃が行き届いていて、今まで訪れた醸造所の中でも屈指の清潔感があります。
クラフトビールのボトルや缶は総じてオシャレですが、Stockadeのラベルはパステルカラーを主体にしたポップで可愛らしいデザインです。
ビールが醸造されているステンレスタンクにも、ビールの缶と同じロゴが描かれています。一見無機質でインダストリアルっぽくなり過ぎてしまいがちな工場部分ですが、こうやってデザインの一部として機能しているのはポイント高いです。
珍しいフレーバーの変わり種クラフトビール
バーカウンターの後ろにあるシネマボードのようなメニューには、定番のハウスビール(&サイダー)7種類と限定フレーバー7種類、全部で14種類のビールがありました。ここのビールの前情報が全くなかったので、店員さんの説明とオススメを聞きながら、定番ものを中心にとりあえずテイスティングセットをオーダーします。
- Flightpath Pale Ale – ほのかな苦味と深みがありながらもトロピカルな味わいは、ランチビールに良さそうな軽さ。
- Splicer Grapefruits XPA – 生搾りグレープフルーツのようなフレッシュさ。ビールが苦手な人でも絶対好きになる爽やかで酸味のある美味しさ。
- 8bit IPA – 醤油のような香ばさとタレのよう(?!)な旨味さえも感じる。焼き鳥とか炭火焼きとか、和食に合いそう。
- Mr Fruju Tropical NEIPA – アメリカ北東部発祥のNew England IPA。トロピカルフルーツのような味わいと、パンチのある苦味とコク。
今回の私の一押しは断然Splicer Grapefruits XPA。そこまでビール党ではない私が、箱買いして毎日飲んでも良いくらい気に入りました。
Stockadeと言えば、個性的で珍しいフレーバーの限定ビールが人気です。オーストラリアのクラフトビール・ランキング「GABS」でピープルズチョイスを受賞したMountie Maple Stoutをはじめ、個性的なフレーバーに定評があります。
左のハラペーニョ味のポーターは、チョコレートのようなコクのある黒ビール。飲んだ時に喉の奥に一瞬「これがハラペーニョか?!」という程度の辛味は感じますが、思ったよりも唐辛子感は少なめ。若干スパイシーなポーターという感じでしょうか。
右は「ワサビ」と「相撲」と「和」を感じるネーミングのIIPA(Imperial IPA)。実際にワサビや生姜が入っているそう。ワサビよりは生姜の味が強めで、ジンジャービアに近い印象。少しピリッとしているので唐揚げや揚げナス的な和食にも合いそうです。
ブルワリーなのに、何故かエスプレッソ・マティーニなどカクテルのメニューもありました。珍しいからちょっと気になりつつも、せっかくなので今回はビールの飲み比べに集中しました。
ビールのお供に定番のハンバーガー
アルコールで胃が刺激されると、段々お腹が空いてきます。通常ブルワリーはキッチンを持たないので、フード関係は敷地内に提携のフードトラックが乗り付けていることが多いです。今日のフードトラックはWaywardなど他のブルワリーでもお馴染みのバーガー屋さん「Chef’s Kitchen」。ここでビールに合いそうなフードをオーダーしました。
カリフラワーの唐揚げ的な「ポップコーン・カリフラワー」は、アイオリ(ガーリック・マヨ)と一緒に。外はカリカリで香ばしく、中はホクホクで舌が火傷するほど熱々のカリフラワーは、とにかくビールに合います。家で再現したい程の美味しさでした。
ジューシーなパテとじっくり煮込んだトロトロの玉ねぎ、黒トリュフマヨとチーズのバーガーは、定番ながらやっぱりビールと最強のコンビネーション。これを食べた夫は、今でも「またあのバーガーが食べたい」と時々言う程の美味しさでした。
今回はBatch Brewの後に訪れたので、お腹が大量のビールとバーガーでかなりタプタプ。ワインと違ってビールは膨満感が半端ないので、個人的にはブルワリーのハシゴはあまりお勧めしません;楽しいですけどね。
ドッグフレンドリーな居心地のいいブルワリー
「荷物になるから」と理由で今回気に入ったSplicer Grapefruits XPAは購入しませんでしたが、 残念ながら地元のボトルショップでなかなか見つけられません。直接ネットで購入すればいいんだろうけど、やっぱりビールも一期一会。他のブルワリーに比べて地元で出会える確率は低めなので、気に入ったらその場で購入しましょう!
お客さんが連れてきたワンちゃん写真がたくさん飾られている店内には、犬用のウォーターボウルも置かれブルワリーながらドッグフレンドリーです。犬の散歩がてらフラリと訪れられるし、このカジュアルでおおらかなところがシドニーっぽいですね。初訪問で初トライしたビールはどれも美味しかったし、大空間ながらもとても居心地がいいオススメのブルワリーですよ。
25 Cadogan St, Marrickville NSW 2204
OPENING HOURS:
THU 12:00pm – 9:00pm
FRI – SAT 12:00pm – 10:00pm
SUN 12:00pm – 8:00pm