2019年末〜2020年にかけてアデレード森林火災で甚大な被害を受けた、オーストラリア屈指のワインの銘醸地「ADELAIDE HILLS(アデレード・ヒルズ)」。今回は森林火災から復活した、受賞歴もある美しいワイナリー「GOLDING WINES(ゴールディング・ワインズ)」をご紹介します。
森林火災で被害を受けた「GOLDING WINES(ゴールディング・ワインズ)」
GOLDING WINES(ゴールディング・ワインズ)はアデレード・ヒルズのほぼ中央、Lobethal(ロベサル)エリアにある家族経営のワイナリー。冷涼な気候ならではのエレガントなワインに定評がありますが、実は2019年12月のクリスマス前、オーストラリアを襲った森林火災で甚大な被害を受けてしまいました。
畑の大部分は消失し、彼らのお祖父さん達の家は全焼。石積みのセラードアやテラス、ガーデンは運良く火災を免れたそうですが、よく見ると壁の一部などは当時の火災のひどさを物語る黒く焼けた跡があります。
そんなとてもつもないダメージを受けながら、地元消防団やボランティアの協力で急ピッチに復旧作業が行われ、何と年内にセラードアを再オープンさせたとか。そのパワーもそうですが、スタッフの方達のハッピーでポジティブな様子にただただリスペクトしかありません。
復旧作業としては、まずはオーストラリアのワイナリーでは超重要な「灌漑システム」を重点的に行ったそう。丘から見下ろすと煤けた木々からは新芽が芽を出し、ブドウ畑には緑の葉が生い茂り小さな実を結んでいました。
こちらのシャルドネも、もうそろそろで収穫だそう。一粒口に含むと汁がしたたり落ちるほどとてもジューシーで美味しいです。
ベスト・セラードアに輝いた美しいワイナリー
ワイン畑を巡った後、いよいよテイスティングがスタート。室内のテイスティングルームも良さそうだけど、天気が良かったので外のテラス席にしました。木漏れ日が降り注ぐテラスでのテイスティング体験は、本当に気持ちよかった!
色鮮やかな花が咲き乱れるガーデンや、緑が眩しい爽やかなテラス、石積みのテイスティングルームなどなど、フォトジェニックなスポットが目白押しです。木陰の席に座って「贅沢すぎるね」なんて言いながら、ワインのテイスティングを楽しみました。
「Gourmet Traveller WINE」誌をはじめ、南オーストラリア州などのBest Cellar Doorにも選ばれたのも納得の美しさです。結婚式の式場としても人気だそう。ワインだけではなく「ワインを飲むという体験」自体もワインの美味しさ直結するので、セラードアの雰囲気作りって本当に重要ですね。
(たまに雰囲気に流されて購入して、家に帰って「あれ?!」ってなることもあるけど)
家族の名前を冠した家族愛に溢れたワイン
今回オーダーしたテイスティング・メニューは、スパークリングが入った「Wine Flights」の「Meet the Family」。シャンパン・タイプのスパークリングとシャルドネ、ピノ・ノワールとシラーズの4つのワインと3つのフィンガーフードが楽しめます。
(Wine Flightのメニューは色々選べます)
今回選んだワインには彼らのお祖父さんなどのファミリーの名前が冠されていて、家族のバッググラウンドだけでなく、森林火災という困難を乗り越えたファミリーの様々な想いまで感じてしまいます。「最初の一杯は炭酸で」という理由でオーダーしてしまったのが少々申し訳なく、「ちゃんと味わわなくては」と気持ちが引き締まりました。笑
お祖母さんの名前が付けられたMarjorie Sparklingは、ビン内で二次発酵させるトラディショナルなシャンパン製法で作られたスパークリング。柑橘系のキリッとした爽やかさとナッツのような香ばしさがあり、ランチ前ということもあり心地よい炭酸が空腹感を刺激します。
Francis John Pinot Noir($42.00)
実は他にも色々飲ませてもらいましたが、ピーチやフローラルの爽やかな中にもスパイスの複雑な深みのあるRosie May Chardonnay、ほんのりとしたベリーの香りと爽やかなタンニン、控えめだけどしっかりとした芯があるFrancis John Pinot Noirをお買い上げ。
ガツンとした主張は抑えつつも、複雑に味が絡み合いいつまででも飲んでいたくなる‥‥そんなワインが多い印象です。
シドニーのボトルショップではなかなかお目にかかれないメーカーなので、気に入ったものがあればワイナリーで購入を。6本購入すると割引になりますが、私は帰りのスーツケースの重量制限もあったので、散々悩んで泣く泣く2本に抑えました。(この後にもまだワイナリーに行くので)
ワインを飲みながらランチやピクニック
因みにこのワイナリーにはレストラン「Ginkgo(ギンコ)」も併設されていてランチもできます。ワイナリーでは定番のチーズプラッターももちろん、テラス席の脇には大きな石のピザ窯も鎮座していてピザも人気だそう。(しかもグルテンフリー)
今回はプルドポークのピザをオーダーして皆でシェア。サクサクな食感のピザ生地は軽い口当たりで、ピリ辛のチポトレソースとポークが食欲をそそります。フィンガーフードとワインで意外にお腹がいっぱいだった割には、ペロリといけます。
ガーデン内にラグやクッションを並べてのピクニックや、ワイン畑の丘の上にある鳥の巣「NIDO(イタリア語で”小屋”)」でのランチコースなど、ワイナリー内でのアクティビティも充実です。美しい丘を眺めながら完全貸切りのNIDOでのラグジュアリー・ランチ体験、機会があたらやってみたいな。
美味しいワインはもちろん、このワイナリー全体の雰囲気が本当に素敵。アデレード・ヒルズに訪れたら是非立ち寄りたいワイナリーの1つです。森林火災で壊滅的な被害を受けましたが、そこから着実に回復しています。彼らをサポートする意味も込めて、ワイナリーを訪れ、美しいワインを飲み、是非それを手に入れましょう!
Special Thanks to Tourism Australia, Golding Wines
52 Western Branch Rd, Lobethal SA 5241
TEL:08-8189-4500
OPENING HOURS: MON – SUN:11:00am – 5:00pm