毎年3月に開催されるゲイ&レズビアンのパレード「SYDNEY GAY AND LESBIAN MARDI GRAS(シドニー・ゲイ&レズビアン・マルディ・グラ)」はシドニー有数の大きなお祭りの1つ。通りの看板やお店、住宅の玄関まで街中にレインボー・カラーが溢れます。今回は2018年3月3日(土)に開催されたイベントの様子をご紹介します。
LGBTQIのパレード「MARDI GRAS(マルディ・グラ)」
毎年シドニーで行われている世界最大級のLGBTQI(ゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クィア/クエスチョニング・インターセックス)のパレードです。元々は1978年同性愛がまだ犯罪行為とされていた当時、迫害を受けていたゲイ・レズビアンの人達が自分達の権利を主張するために始めたデモ行進が始まりだそう。

当時は警察との衝突があり多くの逮捕者が出るほどでしたが、今ではその警察や政府などもサポートをするシドニーの一大イベントになりました。特に今年はマルディ・グラが始まって40周年、しかも同性婚が合法化されてから初めてのパレードとあって今まで以上の盛り上がりが期待されています。

昨年は終了間際の空いたところを見計らって観覧しましたが、今年は知人がパレードに参加することもあったので「きちんと見届けなくては!」ということでオープニングからの参戦です。
50万人以上が世界中から集結
パレードはHYDE PARKの南端から始まり、OXFORD STを通ってMOORE PARKで終わる約2kmの道のりを7:00pm〜11:00pmの4時間掛けて行われます。知人からは5:00pmには行かないといい席は取れないと注意されていたんですが、何だかんだで出るのが遅れてしまい7:00pmにギリギリ間に合うかどうか;

OXFORD STというバスの主要道路が閉鎖されているということで、最寄駅のKINGS CROSS駅は人でごった返していました。10分程で着く道のりが倍の時間かかってしまったくらいです。

昨年はTV中継やステージのあるTAYLOR SQUARE(OXFORD STとFLINDER STの交差点広場)で観覧したので、今年もそこを目指しましたが想像を超える人の波。家から椅子や脚立、ビール・ケースを持って来てそれに乗って見ている人もいますが、確かに台がないと全く見えません。

見やすい場所を探してOXFORD STを彷徨いましたが、人がすごくて全く進めず。急遽、もう少し人通りが少ないと思われるMOORE PARK方面に向かうことにしました。住宅街を抜けてVINE CHURCH辺りでやっと場所を見付けることができました。(しかも最終的には一番前で見ることができました。ラッキー!)
200以上の団体によるパフォーマンス
約200もの団体、1万人以上の人達がパレードに参加しています。団体によってそのフロート(山車)やパフォーマンスもバラエティ豊か。それを50万人以上の人達が観覧しているので、ものすごい人口密度です。

今年は40周年ということで1978年のデモに参加していた『78ers』という人達を乗せたバスが登場しました。彼らは当時逮捕者も出たことから、新聞に名前まで掲載され職も失ったそうです。その後の彼らの壮絶な人生は想像を絶しますが、今夜はみんな嬉しそうに笑顔で手を振っていて、観客達はそんな彼らを大きな拍手で迎えます。



筋肉隆々のイケメン達が音楽に合わせて踊っている団体もいれば、格好いいレズビアンのバイカー達、ドラァグクイーンのお姉様方、LGBTQIの子供を持つ親や祖父母達の団体、医者やライフガード、警察や軍隊など様々な職業別に構成された団体など、皆「HAPPY MARDI GRAS!」と言いながら、道端で見ている私達に手を振ったりハイタッチして行きます。



ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)やQANTAS(カンタス航空)などの企業やシドニー大学、UTSなどの学校もフロートを出していました。LGBTフレンドリーのアピールの一環だと思いますが、さすが宣伝も兼ねているのでお金の掛け方も違います。

因みにQANTAS航空のBGMはゲイ界のアイコン・CHERの「BELIEVE」で、周りの人達と大合唱でした(CHERは今回イベントで来豪中)。カラフルでキラキラの衣装やメイク、踊りやフロートのデコレーションなどを見るのも楽しいですが、セレクトしている音楽も好みがわかりやすくて面白いです。

よく使われていたのはMADONNA、KYLIE MINOGUE、LADY GAGA、RIHANNA、KATY PERRYなど。華やかで女性らしいけれど、決して男には媚びず、強くてたくましい女性像が人気のようです。私のゲイの友人もユーミンや松田聖子が好きだったので、何だかすごく納得できるセレクションでした。
4時間にも及ぶパレード
4時間に渡る祭典も最後は警備に当たった警察やボランティアの人が行進して、それを讃える拍手で終了です。

シドニーはサンフランシスコに次いで2番目にLGBTQI人口が多い都市だそうです。最近若干保守に偏り気味な気配もありますが、性的嗜好だけではなく、国籍・人種・性別など人ぞれぞれの多様性を尊重しようという考えはマルチカルチュラルな国・オーストラリアならではです。

みんなが純粋に笑顔で楽しい時間を過ごしていて、ハッピー・オーラを感じられた素敵なイベントでした。
