ハーバーブリッジからロックスを見下ろすと正面に見える無骨なコンクリートのビル「SIRIUS BUILDING(シリウス・ビルディング)」。小さいレゴブロックがはまっているような不思議なファサードと、グラフィカルなデザインが特徴的な建築好き必見の建物です。
ブルータリスト建築「SIRIUS BUILDING(シリウス・ビルディング)」
SIRIUS BUILDING(シリウス・ビルディング)は1979年に建てられた公営団地で、シドニーでは「荒々しいコンクリートのどっしりとした建築」である「BRUTALIST ARCHITECTURE(ブルータリスト建築)」としても有名です。
実はこのビル、ここ数年のロックスの再開発の煽りを受けて解体、売却されることが決定しています。NSW州遺産評議会により一旦は保存が確定されましたが、予算の都合で政府は再度建て壊すことになりました。
日本でも似たようなことはよくありますが、住民や一般市民による反対運動と強行姿勢の政府との間で、2017年5月現在裁判も進行中です。
廃墟好きにはたまらないシドニーの歴史的建築物
先日ハーバーブリッジを徒歩で渡った時にこの前を通りすごく気になったので、間近で見ようとロックスまで行って来ました。
CUMBERLAND STREETからビルを見上げるとさすがの迫力です。1979年竣工当時はオーストラリア史上醜い建物だと酷評されていたそうですが、現在ではそのアイコニックなデザインが人気です。
敷地の一部にはフェンスが張られ、作業員の人達が解体作業中でした。敷地の外から撮影していたら、現場監督さんらしきスーツの人が敷地から出て来て声を掛けて来たので、「設計の仕事をしていたのでこの建物に興味があって」と世間話をしました。
「面白い建物だけど、ニュースで取り壊されるって聞いて勿体無いですね」と伝えると、「至る所に不具合があって今にも壊れそうだから危ない」との説明が。確かに至る所にクラックがあり、スプレーでも注意書きが書かれています。
抗議行動で少人数の住民の方がまだ住んでいらっしゃるそうですが、ご年配の方なので危なくて心配だと仰っていました。フレンドリーな人で色々世間話をしましたが、多分私は警戒されていたんだと思います。笑
ロックスのランドマーク的な存在
シドニーは現在不動産バブル真っ最中で、東京並みに街中至る所で再開発の工事が進んでいます。もちろん政府の財政事情や建物の老朽化など色々問題はあるとは思いますが、単純に古いものを取り壊してどんどん新しいものを作ってしまうことにも若干抵抗があります。
このまま売却されてしまうと普通に取り壊されて、よく見る超ハイクラスのアパートメントやホテル、オフィスビルになってしまうんでしょうね。全ての人がハッピーになる結末はないとは思いますが、入植時代の面影を色濃く残すロックスの街にある、このちょっと異様だけど独特でアイコニックなビルが無くなってしまうのはちょっと残念な気がします。
SIRIUS BUILDING