リスボンの人気エリア、プリンシペ・レアルに佇む老舗レストラン「Faz Frio(ファシュ・フリオ)」。1872年創業の歴史ある大衆食堂で、現代的なエッセンスを加えた“モダン・ポルトガル”が楽しめる一軒です。
プリンシペ・レアルの老舗レストラン「Faz Frio」へ
プリンシペ・レアルのドン・ペドロ5世通りを歩いていると、ひときわ目を引くイエローの外壁と、蔦に縁取られた可愛らしい建物が現れます。

絵本に出てきそうな佇まいに、前から気になっていたのがここ、Faz Frio(ファシュ・フリオ/発音は「フリウ」)。

通りすがりの人に“美味しい店”を聞いて回るインスタのReelで、複数のローカル達がこの店の名前を挙げていたのを見てから、ずっと気になっていました。
「地元の人が勧めるなら、きっと間違いない」。そんな期待を胸に、今回初訪問です。
1872年創業の歴史ある大衆食堂

1872年創業のFaz Frioは、もともとは伝統的なタスカ(大衆食堂)だったそう。リスボンの中でもかなり古い部類に入るレストランです。ただ、いわゆる“コテコテの大衆食堂感”で言えば、以前訪れた「A Merendinha do Arco Bandeira」の方が断然上かもしれません。

店内は、アイボリーを基調に随所にグリーンを効かせた柔らかな色合い。大理石のテーブルや木製の梁、アズレージョの腰壁など、歴史的な要素を大切にしながらも、カジュアルでモダンな雰囲気にまとまっています。
可愛らしさと落ち着きが同居していて、居心地がいいです。

ちなみに“Faz Frio”はポルトガル語で「寒い」という意味。外は寒いから、中に入って温まりなよ──そんな「ほっと一息つける場所」のようなニュアンスが込められているそう。

夕方になると、近所の人らしき客がカウンターでワインを傾けている姿も。観光客向けに振り切りすぎていない、そんな距離感もいいですね。
お酒が進む、モダン・ポルトガル料理

料理は、ポルトガルの伝統をベースにしながら、ほどよく洗練されたモダン・ポルトガル料理です。

オクトパスサラダ、シュリンプのガーリックソテー、バカリャオ・ア・ブラス(ここでは干し鱈ではなくキノコだった)といった定番料理は、素材の持ち味を活かした安定感のある味わい。

塩気、オリーブオイル、ハーブのバランスがよく、どの料理もとにかくワインが進みます。(これはポルトガル料理全般に言えることですが)

派手さはないものの、しみじみと「美味しい」と思える皿が続き、満足度はかなり高め。正直、料理だけで言えば“また来たい店”です。
少し気になった、ホスピタリティの温度感
ここからは、少しだけ正直な感想を。

残念ながら、接客に関しては終始「寒い」印象が残りました。笑顔が少なかったり、素っ気なかったり、軽く嫌味を言われたりと、少し距離を感じる対応。
あからさまに失礼ではないものの、料理のクオリティが高かっただけに、そのギャップが逆に目につきました。

後からGoogle Mapsの口コミを見てみると、「料理は美味しいけれど、接客にムラが」という声がちらほら。どうやら、この印象は私だけではなさそう。
常連さんにはまた違うのかもしれないけれど、旅行者にとっては少しハードルを感じる場面があるかもしれません。
料理は最高!でも、常連にはならない?
雰囲気もいいし、料理も美味しい。それだけに、「人」の部分で残った引っかかりが惜しい。

「また行く?」と聞かれたら、正直ちょっと迷う‥‥
でも、「料理は美味しい?」と聞かれたら、迷わず「料理は、ちゃんと美味しい!」と答えます。

プリンシペ・レアルで美味しいポルトガル料理を楽しみたい人、接客は多少ドライでも気にしない人にはおすすめ。

一方で、心地よいホスピタリティを重視する人や、初めてのリスボン旅行で“気分よく食事したい”人は、少しだけ心構えが必要かも。

たまたま私が訪れた日がそうだっただけ、という可能性ももちろんあるけれど、人の印象って味の記憶と同じくらい残るもの。料理の完成度が高いからこそ、その点が惜しい——そんな印象の残る一軒でした。
R. Dom Pedro V 96, 1250-094 Lisboa, Portugal
TEL : +351-21-581-4296
OPENING HOURS : SUN - THU 12:00 - 0:00 / FRI - SAT 12:00 - 1:00
