夏のホリデーで訪れたヨーロッパの空港は、パリのシャルル・ド・ゴール、マドリードのバラハス、バルセロナのエル・プラットなどどこもデザインが美しくて個性的な空港ばかりでした。これから始まるヨーロッパ特集、まずは空港からスタートです。
シャルル・ド・ゴール空港(CHARLES DE GAULLE) / パリ

まず最初に降り立ったのは、バルセロナへの乗り換えで使用したパリの「シャルル・ド・ゴール空港」。フランスの元大統領に因んで名付けられたフランス最大のハブ空港で、ヨーロッパではヒースロー空港に次いで第2位の旅客利用数を誇るそう。

設計を担当したのはフランス人建築家のPAUL ANDREU(ポール・アンドリュー)。緩やかに湾曲する楕円のコンクリート壁が延々と続くデザインの第2ターミナルは、少しブルータリズムを感じるデザインです(1998年に拡張)。

そんなコンクリートの塊を抜けてガラスドームに足を踏み入れると、一気に雰囲気が変わります。夕日が差し込むダイナミックな空間があまりにも美しすぎて、思わず声を上げてしまうほど。

連続したガラスと白い鉄骨からなる開放感は「東京国際フォーラム」のようでもあるけれど、高さを抑えてある分、不思議と包まれているような一体感もあります。

下のフロアにはカフェやレストラン、ラウンジがあり、カリスマ・シェフのレストランや名店も出店しているそう。吹き抜けにもカフェやバーもあり、今回は時間がなかったのが残念ですが、出発まで自由な時間が過ごせそうですね。

フランスの有名パティスリー「LDUREE(ラデュレ)」の、小さなキオスクもあります。独特のピスタチオ・グリーンの壁がカワイイですね。因みに下のフロアには、ゆっくりお茶が飲めるサロン・ド・テもあります。

帰国の際利用したのは、木目の天井のこちらのターミナルでした。改装工事中だったせいかレストランやカフェがほとんど無く、天井や照明、ベンチやカーペットの色合いがちょっと残念な感じ。個人的にはガラスドームの方が好みです。
チャンスがあればもう少し時間をかけて、ゆっくり過ごしてみたい空港でした。
マドリード・バラハス空港(MADRID-BARAJAS)/ マドリード
スペインの首都マドリードにある「バラハス空港」は、「世界の美しい空港特集」があると必ず名前が上がるほど有名な空港です。スペイン民主化期の大統領アドルフォ・スアレスに因んで、2014年に「マドリード・バラハス・アドルフォ・スアレス空港」に改名されています。

パリのポンピドー・センターも設計した建築界の大御所RICHARD ROGERS(リチャード・ロジャース)がデザインを担当していて、波を打つようなダイナミックなフォルムの木の天井とそれを支えるカラフルな鉄骨、点在する丸い照明など、空港とは思えないほど遊び心あるポップな空間です。

ロビーに連続して並んでいる鉄骨の柱は、赤からオレンジ、イエロー、グリーン、ブルーと、レインボカラーのグラデーションになっています。色でゲートや場所を覚えられるのが、何気に便利ですね。

ロジャース特有のインダストリアルなデザインの中にも、連続したトップライトから自然光が降り注ぎ、明るく開放的な雰囲気です。天井が低く薄暗い場所というイメージだったバゲージクレイムが、全く違った空間になっています。

空港内の移動は単調になりがちですが、ゲートに向かって進むにつれて柱の色が徐々に変化するのは、歩いているだけでも楽しい!デザインの美しさだけでなく、仕掛けとしても面白い。「世界の美しい空港」に選ばれるのも納得の一見の価値アリの空港です。
エル・プラット空港(EL PRAT)/ バルセロナ

バルセロナにある「エル・プラット空港」はマドリードに次いでスペインで2番目に利用者の多い国際空港です。ターミナルは2つに分かれていて、こちらは2009年に改修されたという比較的新しい第1ターミナルです。

設計はバルセロナの人気ホテル「W HOTEL BARCELONA」を担当したスペイン人建築家RICARDO BOFILL(リカルド・ボフィル)が担当しています。大きなカーブを描いた天井に一筋のトップライトがターミナルの奥に向かって延びています。ダイナミックな中にもシンプルさが光る清潔感ある空間です。

大きな屋根の下には様々なショップがズラリと並んでいて、そのお店のバリエーションの多さに驚きます。

スペインを代表するアパレルブランド「ZARA」のショップはもちろん、地元バルセロナの人気アパレル「DESIGUAL(デシグアル)」のショップはインテリアが個性的で可愛かったです。

店頭に生ハムの骨付き原木がたくさん吊るされているのも、スペインバルならでは。空港内でその場でカットしてもらった生ハムが楽しめるなんてビックリです。フレッシュな生ハムを挟んだサンドイッチも美味しそうでした。

デザイン的には同じスペインのマドリードの空港の方が完全に好みですが、飛行機を待っている間、まるで街にいるかのようにのんびりとグルメやショッピングが楽しめそうな空港でした。
乗り継ぎも楽しめる世界の美しい空港

急いでいたり疲れていたりであまり注目する機会がない空港ですが、世界中にはまだまだ面白そうな空港がたくさんありそうです。次回の旅行ではもう少し時間を取って、もっと空港ステイを楽しんでもいいかもしれないですね。