世界遺産の「アルハンブラ宮殿」があることであまりにも有名な、スペイン北西部アンダルシア地方にあるGRANADA(グラナダ)。宮殿内の一角にある美しいホテル「PARADOR DE GRANADA(パラドール・デ・グラナダ)」に宿泊しました。
世界遺産に宿泊する「パラドール・デ・グラナダ」
スペイン特有の宿泊施設である「PARADOR(パラドール)」は、昔の宮殿や古城、修道院などの歴史的建造物を宿泊施設として観光利用しているホテルです。歴史ある個性的な建物に泊まることで、普通のホテルとは一味違った体験ができます。
特にこの「パラドール・デ・グラナダ」は有名な「アルハンブラ宮殿」内にあるので、スペイン国内に100近くあるパラドールの中でも一番人気。通常6ヶ月以上前でないと予約が取りづらいみたいですが、ラッキーなことに2ヶ月前でも予約できました!
こちらのパラドールは15世紀につくられたキリスト教のサンフランシスコ修道院だった建物を使用しています。イスラムとラテンの2つの文化が混ざり合った当時の雰囲気を、いい感じで残しつつ美しく改修されています。
ドラマティックなエントランス・アプローチ
薄いブロックを重ねた重厚な門の向こうには、緑溢れる美しいアプローチが見えます。門には「PARADOR DE TURISMO SAN FRANCISCO」とあり、サンフランシスコ修道院の名残を感じます。
門をくぐると美しく手入れされた庭園が広がり、小石のモザイクや左右対称のアプローチはイスラムな雰囲気が漂います。見た目がカワイイ模様が描かれたアプローチですが、小石がガタつくので実はスーツケースを運ぶのが少し大変でした。
小さな噴水が点在していて心地よい水の音が響く庭園は、とても落ち着いた空間です。宿泊客でなくても入場可能なので、散策したりベンチに座ってちょっと一休みするのもオススメです。
入り口のスタッズが打ち込まれた濃い赤茶色の木扉、乾いたレンガの色や鮮やかなピンクのブーゲンビリアのコントラストが美しいです。入って右側がレセプション、左側にレストランと客室、正面にあるのが小さな広場です。
広場には正面にイザベル女王の墓石跡、左には礼拝堂があり、ここまでは宿泊客でなくても見学可能です。広場の右手にある格子の奥に見えるのが、このパラドールの見所の1つである中庭(パティオ)です。
フォトジェニックな美しい中庭(パティオ)
美しい中庭(パティオ)は宿泊客のみが足を踏み入れることができる特別な空間で、このパラドールに泊まる楽しみの1つでもありました。中央にある八角系の噴水の周りを、連続したアーチの回廊が取り囲んでいます。当時の雰囲気を色濃く残していて、まるでここだけ時間が止まっているようです。
外部であるにもかかわらず不思議と暑さは感じず、聞こえるのは鳥のさえずりと噴水の水音だけ。中庭や回廊にはベンチやソファが置いてあるので、美しい花々を眺めてホッと一息できます。しっかり時間を作ってゆっくり過ごしたい癒しの空間です。
中庭の一角にあるイスラム風の部屋は、水タバコでも燻らせたら絵になりそうな雰囲気。彫刻や肖像画、家具などの美術品が配置されていて、美術館に滞在しているかのような優雅な気分になります。
眺望抜群で居心地いい部屋
客室は全部で38部屋あり、全室現代風に改装されています。ラグジュアリーではありませんが、適度に落ち着いた居心地のいい部屋です。天井や窓の建具など細かい装飾の中に、修道院時代を彷彿とさせる長閑やかな品格のようなものを感じます。
ベッドルームと連続したリビングがある広々とした「ジュニア・スイート」は、2階北側にあるので窓から丘の向こうに建つ夏の別荘「ヘネラリフェ」を眺めることができます。
逆に「スタンダード・ツインルーム」は南向きで、エントランスの庭園が見えるロケーションです。内窓を閉めると木の葉模様の穴から光が漏れて幻想的になり、窓を開放すると庭園の青々とした緑が楽しめるお部屋です。(時々人は通りますが)
バスルームはテラゾータイルのシンクにジェットバス付きのバスタブがあり、かなりモダンにリノベーションされています。シャンプー、リンス、ボディソープなどのアメニティには、お約束のパラドールマークが。「PARADOR」と書かれたエメラルド・グリーンのパッケージが、お土産にしたいくらいの可愛さです。
今回2連泊し、1泊づつ別の部屋に宿泊しましたが、個人的には「スタンダード・ツインルーム」で十分でした。数あるパラドールの中でもグラナダが一番お値段が張りますが、その中でも値段の高い「ジュニア・スイート」に宿泊するなら、ディナーなど他のことにお金を使った方が楽しめると思います。
壮大な景色を臨むレストラン
食事は気持ちの良い「サマーテラス」があるレストランでいただきます。宿泊しているゲスト以外でもランチやディナーを楽しめるので、宿泊していなくても是非訪れて欲しいレストランです。
◼︎BREAKFAST(朝食)
朝食メニューはビュッフェ方式で、スペインらしく美味しそうなイベリコ豚の生ハムやサラミ、チョリソを始め、トマトスープの「ガスパチョ」やポテトのオムレツ「トルティーリャ」なども並んでいます。
パンやクロワッサンの中にチュロスもあって、トースターで焼くことができるのがスペインらしいですね。もちろんチョコレートソース付きです。
私は普段朝食はあまり食べませんが、今回はせっかくなのでいただきました。スペインに来て驚いたのが、朝食のビュッフェに生野菜があまり無いこと。スペイン人は生の野菜サラダを食べないんでしょうか?(その後フランスでも同じことが‥)
◼︎LUNCH(昼食)
今回、アルハンブラ宮殿の観光に合間に休憩も兼ねてこちらでランチを食べました。とても暑くて喉が渇いたので、サングリアで取り敢えず乾杯です。
SANDWICH ANDALUZ DE CARNE MECHADA, HUEVO Y RUCULA(€10.00)
ランチメニューはサンドイッチなどの軽食がメインですが、ローストポークのサンドイッチやイベリコ豚のハムのバーガーなどボリュームタップリのものばかりで満足度は高いです。
CAZUELA DE GAMBAS AL AJILLO(€15.00)
プリプリの海老のアヒージョはニンニク風味が効いたオリーブオイルがあまりに美味し過ぎて、ついついパンを食べ過ぎて苦しくなってしまうほどでした。
◼︎DINNER(夕食)
ディナーではアンダルシアの郷土料理をベースに、手の込んだ創作料理が楽しめます。
赤ワインを炭酸水を割ったTINTO DE VERANOはサングリアよりさっぱりした味わいで、バーではビールと一緒にタップで並んでいるほどポピュラーな飲み物です。少し甘めでジュースのように飲みやすく、「夏の赤ワイン」と言われる通り乾いた喉に染み渡ります。
REMOJON GRANADINO DE NARANJA, BACALAO Y CEBOLLETSA(€12.00)
「REMOJON GRANADINO(レモホン・グラナディーノ)」はオレンジ、バカラオ(タラの塩漬けの干物)が入ったグラナダ風のサラダ。オレンジのジューシーな爽やかさとタラの塩気という意外な組み合わせが、白ワインにマッチして夏の日のディナーにピッタリです。
LUBINA DE ESTERO ASADA CON COSTRA YAMALI(€19.00)
パン粉を付けて焼いたスズキを野菜の煮込みと一緒にいただくこちらは、香ばしい皮のサクサクとした食感とふっくらとしたスズキの身の舌触りがたまりません。
スパニッシュギターの演奏が響く中、壮大なヘネラリフェを眺めながら、開放的な雰囲気の中でいただくディナーは最高です。ディナーは特に人気なので必ず予約してから訪れましょう。
充実したホテルステイを楽しみたいパラドール
アルハンブラ宮殿の見学は見所が多く移動が重なるので、かなりのハードスケジュールになりがちです。「パラドール・デ・グラナダ」は宮殿内にあり主要なスポットへは徒歩圏内。疲れたらホテルに一旦戻って休憩するということもできるので、自分のペースで見学が楽しめます。
それだけでも宿泊するメリットは大きいですが、歴史、芸術、建築が溶け合う贅沢な空間で、時間が許す限りゆったりとホテル・ステイを楽しみたいパラドールでもあります。今回比較的ホテルにいる時間も楽しみましたが、それでもまだ足りないくらい。世界遺産の中にある「パラドール・デ・グラナダ」、本当にオススメです。
Calle Real de la Alhambra, s/n, 18009 Granada, Spain
TEL:+34-958-22-14-40