1147年に建設が始まった、リスボン最古の教会「リスボン大聖堂(Sé de Lisboa)」。アルファマの丘で700年以上街を見守ってきた大聖堂を、薔薇窓の光、バルコニーからの眺め、28番トラムとの風景とともに巡りました。
アルファマの入口に佇む、リスボン大聖堂
アルファマの丘の入り口に佇む、リスボン大聖堂(通称 Sé de Lisboa)。観光地のど真ん中にありながら、素通りできない独特の存在感を放っています。

建設が始まったのは1147年。イスラム勢力(ムーア人)の支配下にあったリスボンを、ポルトガルが奪還した直後のこと。かつてモスクがあった場所に、ロマネスク様式の大聖堂を築くーーそれ自体が、この街の再生を象徴していますよね。

以来、1755年の大地震をはじめ、幾度もの災害を乗り越えながら、800年近い年月にわたってここから街を見守り続けてきた大聖堂。「リスボン最古の教会」という以上に、リスボンという街そのもののシンボルのような気がします。

大聖堂のファサードは、双塔はあるものの、装飾は驚くほど控えめ。ゴツゴツした外壁の石造で、繊細で緻密なゴシック建築とは対極にあります。教会というよりも、どことなく要塞のような雰囲気です。

それもそのはず、実際の有事の際には防御拠点にもなる構造なんだそう。サン・ジョルジェ城しかり、リスボンの歴史建築はどこか「攻められる前提」で作られている気が。美しさより、まずは耐久性。そんな割り切りが感じられます。
薔薇窓の見事なステンドグラス

外観の印象とは裏腹に、大聖堂の内部に入るとその印象は一変。薄暗い空間に、薔薇窓やステンドグラスから差し込む光がカラフルな影を落とし、煌びやかというよりは、静かな美しさが広がっています。

リスボンには教会が多く、散歩の途中で立ち寄ることも少なくありません。その表情はさまざまで、黄金に包まれた豪華絢爛な教会もあれば、ここはどこか煤けて、少しシャビーな印象があるのも事実です。

けれど、この石の重みや質感が際立つ空間には、時を重ねたからこその落ち着きがあります。光と影のコントラストがあるからこそ、荘厳な雰囲気がいっそう引き立つ。上階から見下ろす礼拝堂の眺めも、なかなか圧巻ですよ。
バルコニーから眺める、リスボンの街並み

個人的に一番心を掴まれたのは、大聖堂正面のバルコニーからの眺めです。

眼下にはLargo da Sé。観光客を乗せるトゥクトゥクが並び、大聖堂バックに記念写真を撮影する観光客が行き交い、坂を黄色いトラムが登っていく。何百年も前からここにある石の上から、いまを見下ろす。その感覚もリスボンらしくて心地いいです。

さらに、2階の宝物館の窓からの眺めも見逃せません。テージョ川、4月25日橋、そして対岸に立つキリスト像まで、リスボンの象徴的な景色が一望できます。

すぐ横にあるサンタ・ルジア展望台とよく似た眺めではあるけれど、コメルシオ広場の一部まで見渡せるのが、ここならではの魅力かもしれません。

28番トラムと大聖堂:「ザ・リスボン」な風景

この大聖堂で外せないのが、坂道を登る名物・28番トラムとのショット。古びた大聖堂の壁と周囲の街並みに対して、鮮やかな黄色いトラムが映える、まさに「ザ・リスボン」な風景です。

この一瞬を写真に収めようと、トラムの到着を今か今かと待つ観光客の姿も日常風景。撮影のために車道に飛び出して、豪快にクラクションを鳴らされている人を見かけることもあるので、撮影の際はくれぐれもご注意を。
とはいえ、思わずカメラを構えたくなる気持ちも、よくわかります。
世界遺産じゃないけれど、アルファマで訪れたい場所

ジェロニモス修道院のように、世界遺産ではありません。けれど、リスボンという街を理解する上でも、この大聖堂は欠かせない存在かなという気はします。

私自身、「定番」すぎるし、入場料がかかるという理由で後回しにしていましたが、実際に訪れてみたら想像以上に良くて、きちんと心を掴まれました。

チケットは入口でも購入できますが、時間帯やシーズンによっては行列ができることも。事前、または当日にスマホで手軽に購入できるオンライン予約がおすすめです。

アルファマ観光の途中、坂道に少し疲れた頃に、ぜひ立ち寄ってみてください。長い時間を生き抜いた石造の大聖堂が、リスボンの歴史をじっくりと語りかけてくれるはずです。

Largo da Sé 1, 1100-585 Lisboa, Portugal
TEL : +351-21-886-6752
OPENING HOURS : MON - SAT 10:00 - 18:00
