ポルトガルの伝統的なスイーツとして人気のエッグタルト「パステル・デ・ナタ」は、ポルトガルに訪れたら必ず食べておきたい逸品。リスボンではいたるところで出会えますが、より本格的な味を求めるなら、やっぱり専門店がおすすめです。
今回はリスボンで特に評判の高いパステル・デ・ナタ専門店4店舗+αで食べ比べしてみました。
ポルトガルの名物スイーツ「パステル・デ・ナタ」

ポルトガルの名物料理の中でも、お馴染みの定番スイーツ「パステル・デ・ナタ(Pastel de Nata)」。手のひらサイズの小さなエッグタルトで、一口食べると、サクッと軽やかなパイ生地となめらかなカスタードクリームの絶妙なハーモニーが口いっぱいに広がります。

その軽やかな食感のおかげで、一個だけでは物足りず、つい二個、三個と食べてしまうほど。小腹が空いた時のおやつなど、ちょっとした満足感を求めるのにもぴったりなんですよね。

そんなパステル・デ・ナタは、ポルトガルではどこでも簡単に出会えるスイーツです。普通のお店でも美味しいけれど、せっかくなら専門店で本格的な味を楽しみたい……ということで、今回はリスボンで人気の高いパステル・デ・ナタ専門店のナタを食べ比べしてみました。
1. パシュテイシュ・デ・ベレン : ナタ発祥の歴史ある名店

最初にご紹介するのは、ベレン(Belém)地区にある「パシュテイシュ・デ・ベレン(Pastéis de Belém)」。ほぼ全ての旅行ガイドに掲載されているほどの有名店で、リスボン中心街から少し離れていますが、世界遺産のジェロニモス修道院(Mosteiro dos Jerónimos)の並びにあります。


もともとジェロニモス修道院の修道士に考案されたと言われている「パステル・デ・ナタ」。1837年創業のパシュテイシュ・デ・ベレンは、そんな歴史ある「秘伝のレシピ」を受け継ぎ、今でもナタの原点の味が楽しめる名店として不動の人気を誇ります。

ザクザクとした食感のタルト生地と卵の甘みを感じるカスタードが、素朴でホッとするお味。観光ガイドに必ず掲載される超有名店ではあるけれど、ポルトガルのパステル・デ・ナタの魅力を語る上では絶対に外せないお店です。

パシュテイシュ・デ・ベレン(Pastéis de Belém)
R. de Belém 84 92, 1300-085 Lisboa
TEL:213-637-423
MON - SUN:8:00 - 21:00
2. マンテイガリア : 躍進するリスボン発の大人気店

「マンテイガリア(Manteigaria)」はリスボン生まれのパステル・デ・ナタ専門店。リスボンだけでも10店舗以上あり、観光客に人気のアウグスタ通りを筆頭に、シアドやタイムアウト・マーケット内など、便利な場所に店舗を構えています。


ポルトガル語でバターを意味する「Manteiga(マンテイガ)」。その名の通り、バターの香りが漂うManteigaria(バター屋さん)の店内では、ストイックにナタ作りのみに一点集中しています。

ポルトガルに旅行に来た時に初めてナタを食べたのがここで、その時の感動は今でも鮮明に覚えています。「ナタは飲み物だったんだ」と実感したのは、ここのナタを食べたから。以来、長らく私の「ナタ選手権」で断トツのトップ独走状態でした。


最近自宅の近所にもお店ができたおかげで、私にとって最も身近なナタとなりました。ポルトガル国内にとどまらず、ヨーロッパやマカオへも進出し、今なお勢いよく店舗数を伸ばす、まさにナタ界の急成長企業です。
上で紹介した「パシュテイシュ・デ・ベレン」のお隣にも出店しているので、ジェロニモス修道院に行ったついでに食べ比べするのも面白そう。それにしても、なぜあえて隣に出店したんでしょう?そんな戦略も興味深いです。
Rua Augusta 195-197, Baixa, 1100-619 Lisboa
OPENING HOURS : MON - SUN 8:00 - 0:00
3. ファブリカ・デ・ナタ : クラシックから創作系まで楽しめる

リスボン、ポルト、シントラに店舗を構える「ファブリカ・デ・ナタ(Fábrica da Nata)」。ほのかに塩気を感じるパリパリのタルト生地と、スムースでなめらかなカスタードクリームのバランスが絶妙です。

カスタードの卵感が抑えめなので、軽い食感が楽しめるのがここのナタの特徴。ただタルト生地が油っぽい時もあるので、なるべく出来立てを狙うのがおすすめかな。

クロワッサンやサンドイッチ、さらにチーズやハムの入った変わり種ナタがあったり、アルコールメニューもあるのでポートワインとナタを楽しんでいる人もいます。夜遅くまで営業しているので、朝食やランチ、ディナーの後の締めとしても使えるのがいいですね。

リスボン中心街にはレスタウラドーレス広場(Praça dos Restauradores)と、アウグスタ通り(Rua Augusta)にお店が。アズレージョタイルが美しい、広めのティールームがあるので休憩場所としても重宝します。(ナタ専門店は席数が少ないお店が多い)
アウグスタ通り店の並びには「マンテイガリア」もあるので、食べ比べも楽しめますよ。
ファブリカ・デ・ナタ(Fábrica da Nata)
Praça dos Restauradores 62 -68, 1250-110 Lisboa
TEL : +351-211-325-435
OPENING HOURS : MON - SUN 8:00 - 23:00
4. カストロ : 職人技が光る繊細なナタが楽しめる

リスボンに2店舗、ポルトに1店舗と規模は小さいながらも、細部まで行き届いた品質管理と職人技が光る「カストロ(Castro)」。こちらもマンテイガリアと同様、ナタ作りに特化した専門店です。

薄い層が幾重にも重なった繊細でサクサクなパイ生地、トロリと流れ出しそうなほどなめらかなカスタード、そして深い香ばしさを添える絶妙な焦げ目が美味。生地は4店舗の中で一番薄いので、その分軽やかな味わいが楽しめます。

テーマカラーの深いネイビーとゴールドのコンビネーションが、エレガントなティーサロンのような佇まいです。他店に比べ、インテリアは抜群に洗練されています。

客席はあるものの店内はかなり狭いので、数人お客さんが並んだだけで店内は大混雑に。これだけ美味しいのにそれが惜しいですね。

観光地ど真ん中ではあるけれど、サンタジュスタのリフト麓にあるアウレア通り沿いの店舗には店外に席があります。
R. Garrett 38, 1200-204 Lisboa
OPENING HOURS : MON - SUN 8:30 - 22:00
【番外編】ザラ・バイ・カストロ : ZARA併設のカフェ

スペインのマドリード本店に次いで、世界第2位の売り場面積を誇る、ロシオ広場のZARA(ザラ)。その1Fの片隅にある小さなカフェ「ZARA by Castro」では、何とカストロのナタが食べられます。

メニューはコーヒーとナタのみ。ナタは作りたてではないので、カストロ特有のクリームのとろりとした食感は乏しいものの、コーヒーは一般的なカフェよりも量が多めなのがちょっと嬉しい。

観光客の多いロシオ広場周辺ではカフェが見つけにくいので、穴場なお茶スポットとして重宝しています。お買い物帰りに美味しいナタで休憩できるのも、ポルトガルっぽくていいですよね。
ZARA by Castro
Praça da Figueira V 3C, 1100-202 Lisboa
OPENING HOURS : MON - SUN 10:00 - 21:00
私の個人的な暫定一位は・・・

色々食べすぎて、正直何が正解かわからなくなってしまったけれど、私の不動のNo.1だったはずのマンテイガリアは最近3位に陥落。現在の暫定1位はパシュテイシュ・デ・ベレンに落ち着きました。2位はカストロかな。とは言え、この順位も1ヶ月後には変わっているかもしれません。
ちなみに、夫はカストロがダントツの1位だそう。まさに、好みは人それぞれということですね。

やっぱり焼き上がってすぐのものの方が、生地のサクサク感とクリームのトロトロ感が味わえて格段に美味しい。効率を優先して作り置きが増えてしまうと、どうしても生地の油っぽさやクリームの硬さが気になります。

パステル・デ・ナタは、ポルトガルでは気軽にどこでも食べられる定番メニューです。今回は人気の専門店をご紹介しましたが、パン屋さんやローカルな食堂、ホテルの朝食など、思いがけない場所で自分だけのお気に入りのパステル・デ・ナタに出会えるかもしれません。

このポストを参考に、ぜひさまざまな場所でパステル・デ・ナタの食べ歩きを楽しんでみてください。