オーストラリア屈指のワイン州である南オーストラリア州。州都アデレード周辺には世界トップクラスにランクインするワイナリーがたくさんあります。今回はシティからも近いワインの街「アデレード・ヒルズ」で、普段から私も愛飲している人気のワイナリー「Shaw + Smith(ショウ・アンド・スミス)」に訪れました。
南オーストラリア州のワイン銘醸地「アデレード・ヒルズ」
ワイン業界では「New World(ニュー・ワールド)」と呼ばれニューカマー的な印象のオーストラリアも、生産量は世界6位と意外と高順位。ただ2019年末〜2020年にかけての大規模な森林火災によって被害を受けたワイナリーも少なくなく、今後の生産量についてはランクダウンも予想されますが、それでも美味しいワインを作り続けているワイン大国です。
特に南オーストラリア州は国内生産量の半数を担うほどオーストラリアの「ワインの州」的な存在で、オーストラリアらしい果実味豊かでフルボディのShiraz(シラーズ)で有名なBAROSSA VALLEY(バロッサ・ヴァレー)をはじめ、国内有数の産地が集中しているエリア。ワイン好きの私的にはずっと訪れてみたかったデスティネーションです。
今回南オーストラリア州への出張が決まってから楽しみにしていたのが、何と言ってもワイナリー巡り。アデレード市内から車でわずか20分の距離にあるADELAIDE HILLS(アデレード・ヒルズ)は、標高が高く冷涼な気候ならではのエレガントなワインが特徴で、ソーヴィニョン・ブランやピノ・ノワールが美味しく、スパークリングやナチュラルワインも人気だそう。
ベリー系の果実味が強くガツンと重めのワインも好きだけど、スッキリとしたエレガントなワインも捨てがたい。結局美味しければどっちもいいよね‥‥なんてことを思いつつ、アデレード・ヒルズのワイナリー巡りに出掛けました。
世界的有名なワイナリー「ショウ・アンド・スミス(Shaw and Smith)」
まず最初に訪れたのはオーストラリア有数のワイナリー「Shaw and Smith(ショウ・アンド・スミス)」。深いグリーンのラインが入ったシックなボトルは、街のボトルショップにも必ず並んでいる有名ブランドです。個人的にも普段から飲んでいるお気に入りメーカーだったので、訪問先リストに名前を見付けた時は思わずガッツポーズしました。
ワイナリーがあるのはアデレード・ヒルズの南にあるBalhannah(バルハンナ)というエリアで、近くにはドイツ系移民が最初に入植した街「Hahndorf(ハーンドロフ)」もあります。美しい街並みと可愛らしい独特の雰囲気で、ワイナリー訪問がてら散歩や休憩に訪れる街としてもオススメです。
創業者はオーストラリア初のマスター・オブ・ワイン(MW)
Shaw and Smithは1989年に従兄弟同士であるMICHAEL HILL SMITH氏とMARTIN SHAW氏にスタートし、彼らは今でも世界各国でワイン・コンサルタントやコンクールの審査員、レストランや飛行機のディレクションなどワイン業界で活躍しています。家族経営のワイナリーは多いですが、従兄弟同士っていうのも面白いです。
因みにMICHAEL HILL SMITH氏は、ワインで世界最高峰の称号と言われるマスター・オブ・ワイン(MW)をオーストラリアで始めて取得した人物。以前NetflixでMW取得のドキュメンタリー(SOMM)を観た時‥‥想像を絶するほどのワインおたく達が気が狂う程の努力をしてしのぎを削る、というものすごい世界に圧倒されました。因みに醸造チームの中にもMW保有者が数名いるらしいですよ。すごすぎます。
そんなワインに精通したプロ中のプロ達がつくるのが「Shaw and SmithのWINE」。私達が訪れた3月中旬はそろそろ収穫も近いということで、ブドウもいい感じに熟しはじめていました。ワイン用のブドウは食用のブドウとは全く違うそうですが、畑で味見したシラーズは酸味と甘さが凝縮していて想像以上に美味しかったです。
ワイン畑を見渡すテイスティング・ルーム
高台からソーヴィニョン・ブランのブドウ畑を見渡すテイスティングルームで、テイスティングルーム・マネージャーのALEXさんのレクチャーを受けながらテイスティングです。この日は少々日差しが強めだったので室内にしましたが、外のテラス席も気持ち良さそうでしたよ。
ここBalhannahの畑ではソーヴィニョン・ブランとシラーズを中心に、約10kmほど離れたもう一つのLenswood(レンズウッド)の畑ではピノ・ノワールとシャルドネを中心に、それぞれのテロワールに合ったブドウを栽培しています。栽培しているブドウを記したパンフレット1つ取っても、わかりやすくてシンプル、デザイン的にも洗練されていて美しいです。
また樹木や土壌などワインを取り巻く環境に配慮した「サステイナブルなワイン造り」に取り組んでいて、今後はオーガニック・ワインの生産という新しい取り組みに向けて動き始めているそう。それも早く飲んでみたい。
すっきりエレガントなソーヴィニョン・ブランなど
「Shaw + Smith Wine Flight」は、左から一押しのソーヴィニョン・ブラン 2020、M3シャルドネ 2019、M3シャルドネ 2014、ピノ・ノワール 2018、シラーズ 2019の5種類のワインがローカル産のチーズと一緒にテイスティングできます。いつも飲んでいるソーヴィニョン・ブラン以外のワインを飲むのが楽しみです。
ソーヴィニョン・ブラン(以下SB)と言うとニュージーランドが有名なので、オーストラリアのものはちょっと‥‥という人もいますが、オーストラリア産のSBも美味しいですよ!グレープフルーツのようなキリッとした酸味と、柔らかなお花や芝のような香りが複雑に絡み合う、リフレッシュできる一本です。そしてリーズナブルなのも嬉しい。実は前々から私のベスト5に入るSBが、Shaw + Smithのものなのです。
更に今回テイスティングした2種類のシャルドネ、特に2014年のシャルドネが柑橘系の爽やかさもありつつ、バターのようなまろやかさとトーストのような香ばしさと深みがあっても美味しかったな。
実は楽しみにしていたのが、生産量も少なく毎年売り切れてしまうという人気商品の「ピノ・ノワール」。ワイナリーだから在庫があるかも、なんて淡い期待もしたけれどマグナムボトル(1,500ml)しか置いていませんでした。さすがにマグナムは持って帰れないので断念‥‥5月頃には2020年のものが発売予定だそう。
ワインと一緒にペアリングしたチーズは、手前からアッシュ・シェーヴル、トリプル・クリーム・ブリー、セミハード。フレッシュ→クリーミー→熟成系に進むにつれてSB→シャルドネ→シラーズへ移行すると相性抜群だそう。アデレード・ヒルズ産のチーズをアデレード・ヒルズのワインと一緒に楽しむという究極の地産地消。美味しいものがたくさんあって幸せ。
国内有数のワイナリーなので街のボトルショップでも普通に購入することができますが、普段はお目にかかれないピノ・ノワールやヴィンテージのシャルドネが試飲できるのはやっぱりワイナリーに訪れたからできる特権ですね。
これを書いていたら「ワイン買ってこようかな」と思う程、Shaw + Smithのソーヴィニョン・ブランが飲みたくなって来ました‥‥という訳で私はこれからボトルショップに行ってきます。その程美味しいワインなので、アデレード・ヒルズに行ったら、まずはShaw + Smithに訪れるのがオススメです。
Special Thanks to Tourism Australia, Shaw and Smith
136 Jones Rd, Balhannah SA 5242
TEL:08-8398-0500
OPENING HOURS: MON – SUN:11:00〜17:00